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Channel: 水の門
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『さすらひ』より

尾山篤二郎の歌集『さすらひ』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・総(すべ)てわが生命(いのち)、わが糧、神よこゝの原は、おもむろに秋となりはてにけり ・なにかえわかず、たゞ大(おほい)なる憧れのせまるがゆゑに跪づくなり ・身をおしすゑ、祈る心を誰(た)ぞしらむ草枯るる野の眼路(めぢ)のさびしさ ・朝夕の祈禱(いのり)も秋をおぼゆらむいのりの席(むしろ)こひしかりけり...

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今はさらに買わなくなった…

間を置かず CD発売する歌手に 掌あわせ 財布も閉じる (とど) 2010年3月25日 作歌。

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『苔径集』より

吉野秀雄の歌集『苔径集』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・寒き夜の臥所に就かむときのまは祈るがごとくこころかしこむ ・大晦日ふけて新年(にひとし)の来むころに催眠薬をふたたびのみつ ・熱ありてねむれぬわれは仕方なく妄想(まうざう)をたどり夜明を待たむ ・くるしみて朝を待ちつつ気がつけばこのわたりには鳴く鶏(かけ)もなし ・臥(こや)りつつ書棚を見れば買ひしまま忘れ過ぎたる本もあるなり...

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『天平雲』より

前川佐美雄の歌集『天平雲』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・明日の日をこひ祈(の)むわれが心とも渚にひかるさざれ石ひとつ ・うかららは吾(あ)を目守(まも)るかも家族(うから)らのなかに起きふし狂人(きちがひ)ならね ・たぐひなき夢うしなはず生きをりと証(あかし)だにせずば神も知らじな ・天たかく百(もも)どりこもり鳴くときしひじりならざる涙もつたふ...

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『群鶏』より

宮柊二の歌集『群鶏』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・切支丹殉教の事一日(ひとひ)調べて疲るれば暗き畳に臥しまろびをり ・告解を励みなさねば信仰(ひいです)の躓きの種子とならむとぞある ・みそかごと犯せし眼にはいろ燃えて五月かなしき青葉のひかり ・幼かる記憶にありしあることが何のはずみにかわれを傷むる ・眠らねばならぬこころに憊(つか)れゆきさびしくぞ気づく瞼の痙攣(ふるひ)を...

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『埃吹く街』より

近藤芳美の歌集『埃吹く街』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・おのづから媚ぶる心は唯笑みて今日も交はり図面を引きぬ ・つらなりてあかり灯れる陸橋を歩める中に義足踏む音 ・癖となりし朝の頭痛の癒ゆる待ち癒えたるあとに体は冷ゆる ・妻のため注射針煮る電熱器しばらくあればいたく輝く ・焼けし樹に饑(うゑ)うつたふるビラを貼る白じらとして雨いたる街 ・幾度かに地平の雲の色移り実験衣脱ぐ一人なる部屋...

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『冬暦』より

木俣修の歌集『冬暦(とうれき)』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・混迷のなかに佇ちつついくばくか偽悪者めきて行ひしのみ ・背の骨のまがるまでの荷を負ひあゆみ祈りすらなし没日(いりひ)のなかに ・地平の果もわが佇つ丘もさばかるるもののごと鎮み冬の落日 ・骨だつは頬(ほほ)のみならず日のくらし夜のおもひの乾びゆくとき ・神々の沼(ぬ)の水を汲む浮彫(レリーフ)がかぎりなくやさし寒き灯のもと...

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『薔薇祭』より

大野誠夫の歌集『薔薇祭』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・降誕祭ちかしとおもふ青の夜曇りしめらひ雪ふりいづる ・クリスマス・ツリーを飾る灯の窓を旅びとのごとく見てとほるなり ・安息(やすらぎ)の歌ごゑきこゆ冬まひる白き階段をしづかに上る ・若葉して涼しき風にころぶせる浮浪者のそば人はゆききす ・息絶えし襤褸のひとを忽ちに事務のごとくに運び去りたり...

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『風の日に』より

中野菊夫の歌集『風の日に』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・いく日か人をにくみてゐたるとき記憶あらたなりサマリヤの井戸 ・焼けざりし教会ありてならす鐘日がすみの中に今日はきこゆる ・戦捷(せんしやう)を祈りし鐘の音想ふとき戦争防止祈禱会のビラ ・ライ予防資金募集に映画あり教会近くビラが貼られて ・たたかひを拒否しわれらがゐるときに平和を願ふ祈禱会あり...

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一首鑑賞(13):前川佐美雄「声もこそせねわれをささふる」

いくたりか身近にひとら死にゆきて声もこそせねわれをささふる 前川佐美雄『天平雲』  前川は特にキリスト教の信仰を持っていたわけではないようだが、『捜神』という歌集も出しており、広い意味では「求道者」のうちに数えられるであろう。故郷の自然の風物の背後にあるものを感じ取りながら、多くの歌を編み出していった。冒頭の歌もそうした系譜に連なるものと言えよう。...

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一首鑑賞(14):木俣修「箴言を額に刻みてけふも」

箴言を額(ぬか)に刻みてけふも生くひしひしとこの受刑のおもひ 木俣修『冬暦(とうれき)』 箴言は神様を礎にした格言集である。その言葉は短く印象に残り易く、私達の心に突き刺さってくる。私にとって特に痛い言葉は、怠け者を諭す箇所と口から出る言葉を制御するよう戒める箇所である。それぞれ引いてみよう。 怠け者よ、いつまで横になっているのか。いつ、眠りから起き上がるのか。...

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発表の機会を逸したものを。

亡き父を 見送った歌 小出しにし ちまちま育てているグリムス (とど) 2014年11月3日 作歌、2015年8月22日 改作。

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今じゃ立場は逆転…(つД`)ノ

英会話よりはパソコン 習えばと 友に勧めた 吾を詰る母 (とど) 2010年2月9日 作歌、2015年8月23日 改訂。

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バーベキューへ行く道々。

処暑過ぎて 陽射し幾分 やわらぐか コスモス揺れる 渓谷の道 (とど) 2010年8月30日 作歌。

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皿洗いはするが…

炎天下 帰りてシャワーに直行し 夕餉の並むを 待つ気楽さよ (とど) 2010年8月27日 作歌、2015年8月29日 改作。

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よくまぁ、そんなことが…(-_-#)

「弟さん、便はね上げる?」と訊く友に 会わせたくなく 祭りを休む (とど) 2010年3月11日 作歌。

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一首鑑賞(15):三浦光世「眠りまた奇しき御業と思ひつつ」

眠りまた奇(く)しき御業(みわざ)と思ひつつ目つむる時に帰る平安 三浦光世『妻 三浦綾子と生きた四十年』より 眠れることは神様の恵み――眠剤を服用している私にとって、これは日々の実感だ。...

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黒ストッキングが常とも知らず。

父の喪にと 急ぎ購う ワンピース 丈短くて 脚白く浮く (とど) 2010年10月14日 作歌。

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『印度の果実』より

大西民子の歌集『印度の果実』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・駅前の放置自転車神々に見はなされたる病のごとし ・妻を得てユトレヒトに今は住むといふユトレヒトにも雨降るらむか ・二つめの目ざまし時計鳴り出でてとぎれてしまふ夢ばかりなる ・いづくまで行く魂か流木のかたちに流れつくことのあり ・芥ともあらずときをりひるがへり流るるもののふと反照す...

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一首鑑賞(16):大西民子「踏絵踏む足の次々あらはるる」

踏絵踏む足の次々あらはるる夢醒めて寒しわれのあなうら 大西民子『印度の果実』  時折、自分の信仰を試されるような瞬間がやって来て、咄嗟の判断でしたことが悔恨を残すことがある。...

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