#sarutanka
今年の折り返し地点まであと一ヶ月ほどになりました。ぼちぼち来年の干支がらみの短歌を作らなければと思いつつ、なかなか…です。 そこで、サル(猿、去る、申…etc.)に因んだ短歌作りに発破をかけるため、Twitterで二年以上かけてメモってきた#sarutankaを、備忘録として公開エントリーにします。 猿轡されたる熊が炎天下ぽつんぽつんと街道にをり/本多稜...
View Article『反花篇』より
河野愛子の歌集『反花篇』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・人恋ひて尽きざる人の歌はあり読みすてて立つ夜のてのひら ・庇はれて生き易かりし性も移らむ涙する少女を帰らしめにき ・かくてつたなき女の交(まじはり)を否むとも癒ゆるなき日の面をとらへき ・命終に迫る幻か知らねども「山上の変貌」を声に畏れたり ・臥したるは汝にふさはしとわが枕辺に立ちたる母は幾歳(いくつ)なりけむ...
View Article短歌のあり方をめぐって
猫の短歌からちょっと離れますが、以前こんな歌を作ったんです。 心病む人が取り沙汰されていて社適の事務所に身を硬くする それを障害者文化展に出すために、作業所にボランティアでいらしている国語の先生(元中学教師)に見ていただいたんです。...
View Article永井陽子
『永井陽子全歌集』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 『葦牙』 ・暖冬の雨 偽善者は顔をそむける ・水鉄砲は造物主への子供の謀反 ・われら神のまま子 額に雪が舞う ・神もまた夢想癖持つ 帆が見える ・偶像がこわれたのです いくたびも訪ねた町の画集をたたむ ・使われなかった方眼紙のように歩道 だれもついてくるな ・神とあなたの間に私がいるという まわれまわれよ回転木馬...
View Article一首鑑賞(9):永井陽子「梯子まっすぐ天まで掛けよ」
どんな言葉も道具にすぎぬくやしさの梯子まっすぐ天まで掛けよ 永井陽子『葦牙(あしかび)』 初めに断っておくが、永井はクリスチャンではない。歌集を読んでいくと、親が木魚を所有していたような家柄に生まれたことが分かる。...
View Article一首鑑賞(10):河野愛子「亡き後に恋しさおそふ」
亡き後に恋しさおそふ人間のつみと臥しをり春吹雪せり 河野愛子『反花篇』 冒頭の歌は、下記の歌に一首おいて続くものである。 父も弟も死顔をもて括りつつ墓苑はほのと春立つ梢 とすれば、亡くなった人というのは父親や弟と考えるの順当なところだ。身内の死後しばらくを経てから故人について色々思い出して遣る瀬ない心持ちになるのは、ある程度の年齢に達すれば避けようのないことなのかもしれない。...
View Article一首鑑賞(11):木下龍也「神様にケンカ売ったら」
神様にケンカ売ったらぼこぼこにされちまったぜまじありがとう 木下龍也『つむじ風、ここにあります』 木下の歌集やネット上に発表された短歌を読むと「神」という語が散見されるし、実際聖書もかなり読み込んでいるようだ。だが木下の神様に対する姿勢は、ある時は神様に食ってかかり、またある時は神様に冷徹な眼差しを向けている一方で、別の時には神様の臨在や圧倒的な力に承服しているようでもある。...
View Article一首鑑賞(12):水谷文子「評定の切なき仕事なし終へて」
評定の切なき仕事なし終へて一学期果つる日の淋しけれ 水谷文子『齶田(あぎた)』 水谷は都立高校の教師をしていたという。「評定」は、生徒の成績つけだろう。相対評価なら、団子状に固まった点数の分布にある子供達を僅かな差で切り分けていく作業が必要になる。生徒達の将来を左右する評定を心を鬼にして為し終えた後の侘しさ…。...
View Articleウチは私の代で途絶えるよ。
厨より 望む空地の 蒲公英は 種子を遥かに 運ぶ羽もつ (とど) 2012年4月19日 作歌。 *マタイによる福音書19章12節 参照 「結婚できないように生まれついた者、人から結婚できないようにされた者もいるが、天の国のために結婚しない者もいる。これを受け入れることのできる人は受け入れなさい。」
View Article#sarutanka(じわじわ追加中)
今年の折り返し地点まであと一ヶ月ほどになりました。ぼちぼち来年の干支がらみの短歌を作らなければと思いつつ、なかなか…です。 そこで、サル(猿、去る、申…etc.)に因んだ短歌作りに発破をかけるため、Twitterで二年以上かけてメモってきた#sarutankaを、備忘録として公開エントリーにします。 猿轡されたる熊が炎天下ぽつんぽつんと街道にをり/本多稜...
View Article『磔刑』より
近藤芳美の歌集『磔刑』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・民衆の位置に立つ日に見ゆるものを知れば生きたりき祈りともいえ ・ヨブに臨む神の怒りのまさやかに読みてねむらむ老いのさまよい ・ヨブの叫びいつさえ人間の叫びとし古代も生きし地に生き縋る ・原稿を渡せば昼をこもり臥すまどろみに降る遠き過去の雨 ・鍵の鈴鳴らして帰り来るを待つベッドにありし昼のまどろみ...
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