『忘瓦亭の歌』より
宮柊二の歌集『忘瓦亭の歌』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・苦しみのおもかげ殘し目を瞑る人の瞼をわが撫でさする ・登り路(ぢ)に去年の薄の茎を折るみ骨挟まん箸となすべく ・戰爭を深く憎みて憎むまでに知る恐れより語らずわれは ・碑(いしぶみ)となれる遺詠の寫眞をば机に置きて晝に夜に見る ・話盡(つ)きて歸ると下りし玄關にまた一時間ほど語りたる人...
View Article一首鑑賞(23):横山未来子「ここにをらぬ人のためにも祈りゐるこゑを」
ここにをらぬ人のためにも祈りゐるこゑを聴きをり小さき部屋に 横山未来子『午後の蝶:短歌日記2014』 『午後の蝶:短歌日記2014』は【ふらんす堂】のホームページに2014年の一年に亘って掲載された、一日一首の横山の短歌とそれに付された一言二言の短歌日記をまとめた歌集である。 掲出歌は、10月9日付けで記されたもので、次の小文が添えられている。...
View Article一首鑑賞(24):和気智子「すくい上げたよダンボールから」
掌にすっぽり収まるいのち見てすくい上げたよダンボールから 和気智子(『NHK短歌2016年2月号』より) 「いのち」という題に投稿された佳作の一首である。...
View Article一首鑑賞(25):えんどうけいこ「お祈りの言葉を意味がわからないままに」
お祈りの言葉を意味がわからないままに唱えるような毎日 えんどうけいこ(『NHK短歌2016年2月号』より) 「祈る」という題に投稿された佳作。私達が神を信じる者としてどう祈っているか、それが周囲にどう伝わっているか。非常に身につまされる一首である。...
View Article『風の像(かたち)』より
渡辺和子の歌集『風の像(かたち)』を読了。目に留まった歌を引いておきます。 ・吹きこんでくる雨足をつかまんと児らは両手をさしのべている ・匿名にて今年も届くオルゴール巣立ちゆく児らが抱きしむ ・卒業式の袴に触るる児童(こども)らを一束にして抱(いだ)きしめたり ・うす桃の花盛りいる学び舎を目の弱き児らは巣立ちゆきたり ・幼らはみごもりている母に添い真夜を聖画(イコン)のごとく眠れり...
View Article聞茶(57):爆弾コーヒーo(^_-)O☆
父が亡くなってかれこれもう四年以上が過ぎた。父は好奇心旺盛で興味の湧くままに次から次へと物を買い漁る癖があり、父の死後にその独り住まいを処分するため片付けるのも結構骨が折れた。大方のものはゴミと化したのだが、いくつかは貰ったものもある。そのうちの一つがスパイスである。内訳は、ローレル、サフラン、タイム、ローズマリー、シナモン、クローブ。...
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